僕が洗濯のアドバイスをしていて、よく感じるのが「みんな洗濯機を過信しすぎだし、洗濯機で汚れを落とそうとしすぎだなー。」ということ。
例えば、食べ物の汚れがついてしまったとして、それを洗濯機の中で落とそうとすると、洗剤は洗浄力をあげないといけないし、洗濯機の機械力も上げないといけなくなります。
そうすると、汚れが落ちたとしても、その洗い方というのは同時に服へのダメージも相当に上がってしまいます。
洗濯とは本来、服を大事にするためにするのもの。
だから、ただ汚れが落ちればいいというものではなく、服のダメージをいかに抑えて、いかに汚れだけを取り除くか??という洗浄力と服のダメージのバランスが大切だと思うのです。
そのことを考えた時、普段回す洗濯機の中ではそこまで洗浄力を求めない方がいい。
洗濯機の中では、「汚れの多い部分ではなく汚れの少ない部分」、「強い素材の部分ではなく弱い素材の部分」に合わせるのが鉄則だと、僕は思います。
汚れ落ちを保った上で、服へのダメージを最小限にしようと思った時、欠かせないのが「部分洗い」です。
いわば、部分洗いというのは、「部分的に洗浄力を上げたピンポイントの洗濯」と考えて頂くとよく、それは汚れの多い部分を汚れの少ない部分に合わせてあげる、「服への愛情」です。
汚れが多い部分には、洗剤も多く使う。
部分洗いの方法はいたってシンプル。普段着用の液体洗剤を原液で使うことです。
付いている汚れが「何の汚れか?」考える必要はありません。汚れが目についたらとりあえず普段着用洗剤を原液で使う。たったこれだけで汚れの部分だけ簡単に洗浄力を上げることができます。
液体洗剤は、洗濯機の中でたくさんの水に溶けて薄まってしまうと洗浄力がかなり落ちてしまいます。
ですが、原液をそのまま使うと、部分洗い用洗剤として優秀に働きます。
汚れが目に見える状態というのは、そこが「周りよりも汚れが多い(濃い)」状態ということ。
だから、汚れが多い(濃い)部分には、あらかじめ洗剤も原液で多く(濃く)使ってその部分だけ洗う。
これが部分洗いの考え方です。
使う洗剤。

部分洗いに使う洗剤は、先にも書きましたが普段着用洗剤です。
「普段着用洗剤」とは、その名の通り、洗濯機で気兼ねなく洗える普段着を洗濯する時に使う一番使用頻度の高い液体洗剤です。
僕のThe SENTAKU detergentシリーズだと、「Itsumo」がこれに当たります。
これを部分的な汚れを落とす、「部分洗い」にも使います。
ただし、普段着用の液体洗剤を原液で使用する時、以下の3つのいずれかでも入っている洗剤は不具合が起こることがあるので、部分洗いには使わないほうが良いです。裏面などに記載の成分を確認してみて下さい。
「蛍光剤」・・・部分的に濃くつくとそこだけ異常に白くなってしまう。
「漂白剤」・・・色落ち、変色の可能性を高める。
「繊維保護剤、繊維潤滑剤など」・・・シリコーンなどが採用されているが多く、これが繊維に膜を張ってシミのように見えてしまうことがある。
なので、市販のものでもこれらが含まれていない洗剤を「普段着用洗剤」として採用すると部分洗い用にも使用できるのでムダがなく良いと思います。
※「Itsumo」にはこれらが含まれていませんので、部分洗い用としても安心してお使いいただけます。
注意事項
●極端に色落ちのしやすいものは、目立たない部分で一度試すなどして注意して下さい。
下洗いの方法
1.普段着用洗剤を汚れに直接つける。
洗剤の容器から垂らしてつけてもいいですが、こういったボトルに移し替えて、部分洗い専用にして置いておくと扱いやすく便利です。
移し替える時に薄めても良いですが、界面活性剤の濃度が下がると汚れを包み込む能力も下がります。また、濃度が30%を下回ると腐敗しやすくなるので注意です。


2.洗剤をつけたら、汚れと洗剤をよくなじませる。
ここが結構ポイントです!なじませ方が足りないと、汚れが残りやすいので、汚れをよく観て、しっかりなじませていきましょう。
僕は歯ブラシを使って「部分洗い」をすることが多いのですが、ブラシ側よりも背面の部分を使う事が多いです。
これは、汚れと生地をよく観て部分洗いをした結果、「しっかり洗剤をなじませるために、ある程度力を入れても生地が意外と傷みにくいな」と感じていたので、この方法をよく使っています。

3.汚れと洗剤がよくなじんだらすすぐ。
洗剤をしっかりなじませておけば、その後そのまま洗濯機に入れるだけでも汚れ落ちは格段に良くなります。
ただ、なじませた後に40℃程度のお湯ですすぎ、その時点で汚れが完全に落ちたのを確認してから洗濯機に入れるようにすると、洗い直しが少なくなるのでおすすめです。
汚れの取れ具合によって、「2.洗剤をなじませる」→「3.すすぐ」を何度かくり返すと良いでしょう。

4.洗濯機で洗う。
部分的な処理のみで終わらせると、濡らした部分と、乾いてるところとの境目に輪染みができる可能性があるので、部分洗いだけで済ませずに全体を洗います。他に洗うものがあれば、一緒に洗ってOKです。

部分的な汚れが目についたら、洗濯機に入れる前に「ひと手間」かける。
僕は、洗濯機に任せきり、頼りきりになるのではなく、「人の手間」を加えることが大事なことだと思っています。
人によってはそれを「めんどくさい」と思う人もいるかもしれません。
でも、洗濯機に任せるだけでは本当の意味でキレイになりません。
仮に、洗濯機で様々な汚れが一気に落ちたとしても、おそらくそれは服も傷んでいる可能性が高いです。
部分的な汚れが目についたら、洗濯機に入れる前に「ひと手間」かける。そうすることで、服はもっとキレイに、そして痛みなく洗えるようになると僕は考えます。
慣れたら、そんなに何十分もかかる作業じゃないですし過剰に手間を掛けなくても良いです。
なので、汚れもきちんと落ちて、服も傷みにくい「部分洗い」ぜひお試し下さい。